環境問題への取組み

リサイクルの推進

■資源循環のシステムづくりや廃棄物の適正処理を推進しています

JIS JASS リジェネレーション・建築再生展より

 地球規模の環境、資源、エネルギーに対する懸念が深刻さを増すなか、社会のあらゆる分野で、生産から廃棄にいたる流れのなかから循環の方策を見いだす気運がいっそうの高まりを見せています。大量の資源を必要とする建築も例外ではなく、省エネ、省資源指向はすでに明確な潮流になっています。その一端を担うALCパネルについては、かねてから原材料から再生までのすべての段階で従来のあり方が見直され、改善する取組みが進められてきました。ALCパネルに関連するJIS やJASS にも環境負荷低減を視野におさめた記述が盛り込まれています。
 ALC協会とALCパネルメーカー各社は、循環型社会の構築に寄与すべく広域認定制度を利用したALC製品の資源循環のシステムづくりや廃棄物の適正処理を推進しています。

ALCパネルのライフサイクル 原材料 製造 建設 広域認定制度 供用・維持 解体 中間処理 再生 再生品 最終処分

ALC 廃棄物の適正な処理のために

ALCパネル表面の拡大写真

 ALC廃棄物の適正処理は環境保全と切り離せない永続的なテーマであり、法律によっても細かく規定されています。
 ALC協会ではリサイクルを含めた処理の流れや、元請建設会社やALC代理店の役割などをまとめたPR誌を配付して、ALC業界全体の意識向上に努めています。
「ALC 廃棄物の適正な処理のために」(PDF:1074KB)
「環境問題への取組み」(PDF:279KB)
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【原材料】 安全な無機質の原材料


 ALCパネルは珪石やセメントなどの無機質原料で製造され、アスベストをはじめとする有害物質を一切含んでいません。このため、ALC建築は解体等によって最終的に廃棄処分される場合でも環境への悪影響を抑えます。

ALC パネルの原材料
珪石、セメント、生石灰、アルミ粉、鉄筋

【製造】製造工程における端材の発生状況


 ALCパネルは個別物件ごとに応じて注文生産する製品です。注文寸法形状が多様な場合、その端部を切断加工する必要が生じALC端材が発生することになります。また、用途に応じてパネルの側面加工や、パネル表面の意匠加工時にALC切削粉が発生します。
 これらの端材や切削粉はALCの原材料の一部として利用される他、土壌改良材、肥料および畜産資材などの農業用原料や、調湿建材の原料としても再資源化されています。

ALCパネルの製造工程とALC端材発生状況

【建設】建設現場での分別


 注文生産により製造・搬入されたパネルであっても、施工の段階で端材をゼロにすることはできません。新築現場での端材発生率は厚形パネル、薄形パネル平均で4%程度となっています。加工せざるを得ない部分で発生した端材は、仕上げ塗材やシーリング材等のALC以外の材料が付着していないため、ALCパネルの原材料として再利用することが可能です。新築現場では他の廃棄物が混入しないよう分別作業を推進しています。

新築現場での切断作業、切断されたALCパネル端材、端材回収用メッシュパレット、材種ごとの分別回収置場

【広域認定制度】新築現場から端材回収・リサイクル


 新築現場で排出されるALCパネルの端材については、【広域認定制度】※を利用してALCパネルメーカー各社が回収にあたり、パネルの原料に再利用する体制を整えています。

製品搬入車による端材回収、ALC工事現場、ALC工場「端材を粉砕し原料の一部として再生利用」

※【広域認定制度】とは
 平成15 年12 月、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に第15条の4の3が追加され、環境大臣が廃棄物の減量その他その適正な処理の確保に資する広域的な処理を行う者を認定し、この者について廃棄物処理業に関する地方公共団体ごとの許可を不要とする制度。
 なお、この制度にもとづく端材の回収は有料で、元請建設会社とALCパネルメーカーとの契約が必要です。

端材→工場にて粉砕・ふるい分け→ALC粉を原料の一部として再生利用

【供用・維持】予想される解体物件の増加


 ALCパネルは2017年度までに約1億1,145万m3が出荷されています。ALC建築物の耐用年数を考慮すると本格的な解体時期を迎えているものはまだ少ないものの、なかには都市計画などの理由から、取り壊しを余儀なくされている事例もあります。このような現状に加え、今後は解体物件の増加が予想されるため、取り外されたALCパネルの適正な処理・処分および再資源化など、分別解体に係る本格的な対応が望まれています。日本建築仕上学会は、ALC協会からの委託により[ALC解体工法委員会] を設置し、元請業者がALCパネルの分別解体を施工する際の適正なガイドをまとめました。その詳細は『建築物等に使用されるALCパネルの分別解体工事施工指針( 案)・同解説』として発行されています。

ALC厚形パネルの出荷数量と着工建築物の床面積の推移

【解体】ALC厚形パネルと薄形パネルの分別解体工法の特徴
(ALCパネルメーカー各社は対応しておりません。解体業者、GC 等にご相談ください)

ALC厚形パネル
(出典:日本建築仕上学会 建築物等に使用されるALCパネルの分別解体工事施工指針(案)・同解説)
1. 機械作業および手作業併用による分別解体

■手作業だけによる解体に比べて作業の効率がよい。
■工事現場内でALCと補強鉄筋の分別ができ、中間処理場での作業の低減が図れる。
■機械作業ではALCが小塊状になる場合があり、内装材やコンクリートとの分別が困難。
■重機の騒音や振動、破砕による粉じんなど近隣環境に対する配慮が特に必要。
■重機の無理な操作による過度の損壊や、重機の転倒などの防止対策が必要。

2. 手作業による分別解体

■人手による作業のため騒音や、破砕による粉じんが少ないので、近隣環境への配慮が特に必要な場合に有効。
■機械作業による解体に比べ、パネルの取り外し作業に時間がかかる。
■ALC廃材がパネル状で搬出されるため、ALCパネルと内装材などとの分別が容易。
■ALC廃材がパネル状で搬出されるため、中間処理場で内部の補強鉄筋とALCとに分離しなければならない。



ALC薄形パネル
(出典:日本建築仕上学会 建築物に使用される仕上げ材の分別解体工事施工指針(案)・同解説 ALC薄形パネル編)
ALC薄形パネルの解体は、下記のような特徴から手作業による工法を原則とする。

■パネル1枚当たりの重量が25~35kg程度であるため、手作業での持ち運び、施工が可能。
■パネルが胴縁などの下地材にビスなどにより固定されているため解体が容易。
■パネルの取扱いに重機を必要としないため、近隣環境に対して騒音や粉じんなどの悪影響が少ない。

【中間処理・再生】中間処理場でリサイクル
(ALCパネルメーカー各社は対応しておりません。解体業者、GC 等にご相談ください)


 広域認定制度によって生産工場に回収されないALC廃材は中間処理場に送られ、そこで再資源化処理や安定型最終処分が行われます。

ALC廃材、処理されるALC、粉砕されたALC

【再生品】リサイクル材にもALCらしさ


 ALCの再生品は肥料、再生路盤材、屋上緑化材、調湿材、土壌改良材などとして利用されています。いずれも軽量、通気性といったALC本来の特性が発揮されます。

ALC粒、人口軽量土壌、屋上緑化に利用されたALC再生品

【最終処分】ALCは“安定型産業廃棄物”


 産業廃棄物は最終処分の方式によって分類されていますが、そのうち性質が安定していて、生活環境上の支障をおよぼすおそれが少ないと考えられるものが「安定型産業廃棄物」であり、ALC廃棄物はこれに該当します。

●安定型産業廃棄物

分類名称 内 容
がれき類 建築現場から排出されるALC、工作物の新築・改築又は除去によるコンクリート破片その他これに類するもの、レンガ破片、ブロック破片、アスファルトくず 等
ガラスくず・コンクリートくず 及び陶磁器くず 生産段階で排出されるALC、ガラスくず、ガラス繊維くず、製品の製造過程等で生じるコンクリートくず、耐火レンガくず、陶磁器くず 等
廃プラスチック類 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず、廃タイヤ等の合成高分子系化合物の固形状及び液体のすべての廃プラスチック類
ゴムくず 天然ゴムのくず
金属くず 切削くず、ダライ粉、はんだかす、溶接かす、古鉄スクラップ 等
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